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ある樵(きこり)の ものがたり

ある樵(きこり)の ものがたり 

  西岡常一という 法隆寺復興、薬師寺西塔再建 にも携わった宮大工がいました。

  木を削る鉋(カンナ)にしても、現在一般的に使用されている鉋では木の表面を傷めるので、過去の文献を紐解きながら木材の表面を傷めない「 槍がんな 」 を考案し、実際に使用してみたところ 一三〇〇年 も昔の檜からまさに木の香りが復元された。そのような実体験を経て、わが国最古の木造建造物に 昭和の息吹を吹き込み、未来へと残してくださった方でした。

 ところで、今は昔。あるところに非常に真面目な樵(きこり)がいたのです。西岡常一のような名宮大工が納得して 「この 樵 が育んでいる森から切り出された木材なら間違いない。絶対に素晴らしい建物を建築してみせる。」と意気込んで建築に着手することのできる木を育てる樵だったのです。

 ところが、そのような樵にも 誘惑の魔の手 は忍び寄りました。 忍び寄ったとはいっても、昼間から、かつて聞いたこともない 綺麗な歌声 で語りかけてきた 一羽の小鳥 でした。声の魅力に負けたばかりでなく、未だ出会ったことのない美しい小鳥でした。

 そこでその樵は、自分が育てている森に この小鳥 が住むことで 潤いも生まれ、 より良い木々が育つと考えたのでした。 樵はその小鳥を捕まえることに 夢中になっていったのです。声が聞こえれば近づいていき、見とれ、自分の籠の鳥 にしようとする日々が続いていったのです。ところが、近づけば逃げる。だから追いかける。追いかければあたりまえながら、逃げる。

  そのような日々が続くにしたがって、その樵の森はやはりやせ細っていったのでした。下刈りや、雑草の除去などの管理は手薄になっていたからでした。 その日々の大事な作業の不備にこの樵が気がつくまでに、なお数年の年月を要したのです。

 しかしながら、その樵のかつての努力を知っている村の長老が彼を見守っていました。「おい、お前の森が今どうなっている? 見ているか。  ただ一羽の小鳥 に惑わされてどうする。 お前の腕は良かったのにな。 森も虫たちも前は もっと活き活きとしていたなあ。」  その言葉を聞いて、 樵は森へと再び向かいました。 森の荒れ果てた姿を見るにつけ「これが自分の育んできた森か。」と 呆然とたたずむしかなかったのでした。

 ところが流石にかつては評判を勝ち取っていた樵です。 森の建て直しに取り掛かりました。その作業の最中にあっても、実はあの小鳥は樵に近づいてきていました。 美しい歌声と姿の誘惑にも惑わされなくなっていく樵がそこにはいたのでした。

 そして、数年の日々が過ぎ、その樵が かつてのように素晴らしい材木 を産出すことができるようになった年。 最初の幹 を 切り出す日のことです。 幹に打ち込む斧を振り上げたその時、樵は斧に不思議な重みを感じたのでした。 斧を見上げると、あのかつての小鳥が成長してますます美しくなり、声はのびやかさを増して さえずっていたのです。 樵 と その鳥 とが仲良く暮らせる森がそこにできあがっていたのでした。

 樵のおこなってきた 森再生三昧の日々 が、この鳥を呼び戻してくれたのでしょう。この時が、樵と鳥とが共生できる時の訪れ だったのでしょうね。

 この鳥の名を 「 さ と り 」   というそうです。

「 天上の月を貪り見て 掌中の珠を失却す 」  ( 会計人の原点 四七頁 )

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